日本の成人の慢性腎臓病(CKD)患者は、約1330万人と推計されている。自覚症状がなく、気付いた時には腎不全による人工透析というケースも少なくないが、血中クレアチニン数値と年齢、性別を入れて割り出すeGFR値によって、腎臓の状態が簡単にわかる。CKDの発症には高血圧、糖尿病などが関与していることが多く、これらをコントロールすることで進行の抑制が可能だ。
腎臓は心臓からの血流量の約20%が流入する、血管の集合体のような臓器だ。このため高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病などで動脈硬化が起きると腎機能が低下する。これが慢性腎臓病(CKD)の大多数で、ほとんど自覚症状がないまま進行し、気づいた時には末期腎不全で、人工透析が必要になるケースも多い。
CKDの患者数は成人人口の12.9%にあたる約1330万人と推計され、年々増加している。そこで現在、腎臓の状態を簡単に知る指標として、eGFR値(推算糸球体濾過量)を割り出す計算式が導入され、臨床現場での活用が進んでいる。
東京医科歯科大学医学部附属病院腎臓内科の佐々木成教授に話を聞いた。
「eGFR値は、健康診断などでも調べる血中のクレアチニンの数値と年齢、性別を計算式に入れると簡単に割り出すことができます。EGFR値は腎臓の状態を示す数値で、90以上なら正常です。60がボーダーラインでそれ以下になると要注意、15以下では腎不全で人工透析の対象となります。しかし数値が60以上でも、尿にたんぱくが出ていたら、CKDの可能性があります」
クレアチニンは、筋肉で作られる小分量物質で、腎臓の糸球体で濾過され、尿中に排泄される。腎臓に障害が起こると血液中にクレアチニンが多くなるため、腎機能の状態を見る目安になる。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年3月18日号