現代はまさに昇進とリストラが紙一重の時代。後ろ指さされることなく仕事人生を充実させ家族の生活を守る―そんな「幸福な出世」の法則について検証してみた。
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『残念な人の仕事の習慣』著者でビジネスコンサルタントの山崎将志氏は、「できないことを『できない』といえる」ことを出世する人の条件に挙げる。
「ただ無理だといえばいいわけじゃありません。たとえば商品を来週までに1万個納品しろという取引先に、無理なのを承知で『なんとかします』というのは残念な人。出世する人は、無理だと伝えたうえで、分納を提案したり納期の理由を聞いたりして、本当のニーズを知ろうとする。相手が上司にどう説明できるかを一緒になって探るんです」。山崎氏は3つのポイントを挙げる。
●仕事を抱え込まない
仕事の遅い部下に任せるよりはと、自ら仕事を処理した経験のある人は多いのではないだろうか。
「そんな人はせいぜい課長止まりです。ある都市銀行の執行役員は、銀行員なのに札勘定すらできず事務処理が全然できない人ですが、人に頼むのが上手い。人柄で慕われ、何もいわずに部下が助けてくれるんです」
●仕事は後回しにしない
今できる仕事をとりあえず置いておく人は残念な人の典型だ。
「締め切りが先の仕事でも、どのくらいかかるか目算し、早めに片付ける人は出世します。メールの返信も後回しにせずにすぐに送ります」
●自宅に書斎がある
自宅で仕事ができる環境も出世には大いに影響するようだ。
「若いうちから自宅に書斎がある人は出世します。仕事に対する家族の理解があるからです。贅沢な書斎なんて必要ありません。休日でも、『お父さんはお仕事するからね』と子供を連れ出してくれる奥さんがいるかどうか。夫婦関係の良さも重要です」
※週刊ポスト2011年3月18日号