京都大学の入試問題が『Yahoo!知恵袋』に投稿されるという前代未聞のネットカンニング事件。19才の予備校生が偽計業務妨害の容疑で逮捕されたが、「ヤンキー先生」として知られる元高校教師の義家弘介参議院議員(39)は、個別の事件として終わらせるのではなく、携帯社会のルールづくりが必要だと説く。
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教育者にとっては、非常に想定しうるシンプルな事件です。私の印象では1999年以降、急速に携帯電話を持つ高校生が増えました。当時は私も高校教師でしたが、すでに職員会議などで話し合い、テストのときには携帯を預かるなどの対策をとるようにしました。
しかし何千人が一斉に受ける大学受験では、携帯を預かるといった対策が難しいかもしれない。それならば、試験会場で携帯が使えない状況にするといった設備投資も含めて考えなければならない問題です。
そもそも携帯の使い方のモラルがしっかり確立していないのに、いまの子供たちは携帯を手にしています。危険ないい方をすれば、まるで子供に銃を渡しているようなもの。携帯をどう使うべきなのかという教育をしていないわけですから。
今回の予備校生もそういった教育を受けておらず、悪気はありながらも、追い詰められた状況のなかで、自分にできる姑息な手段に出てしまったのだと思います。それを私たち大人は冷静に考えるべきです。
今回は『Yahoo!知恵袋』という有名なサイトに投稿したため、たまたま発覚しましたけど、ほかの似たようなサイトを調べれば、もっとたくさんの事例があるかもしれない。慎重な姿勢が問われるべきなのに、ヒステリックに、個別の問題として矮小化されてしまっているのは残念でなりません。
京大の対応も、会見を見ていると非常に愚かだといわざるをえません。まず、試験が始まる前に受験生たちに携帯の使い方の注意を促すようなことをいったかどうかも含めて、試験監督のあり方が問われて然るべきでしょう。受験させているのは自分たちであって、その場所を監督しているのも自分たち。自分たちの姿勢についてしっかり言及し、対策方針を出すことが第一のはずです。
※女性セブン2011年3月24日号