大相撲の八百長問題が新たな局面を迎えている。すでに携帯メールの分析で名前の出た14人の他にも、3月5日には毎日新聞が、〈(特別調査委員会は)十両の将司や安壮富士らが八百長にかかわった疑いが極めて濃いと判断している〉と、実名を挙げて報じた。この報道に安壮富士が反論。師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)も、「法的措置を考えている」とブチ上げた。
こうした反論を聞き「白々しい」と呆れ顔なのが、週刊ポスト本誌で2週にわたって八百長や退職金未払い問題を告発してきた大関・日馬富士の元付け人・雷鳳(23)だ。以下、安壮富士と同じ伊勢ヶ濱部屋に所属していた雷鳳が告発する。
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14人の中に海鵬(現・谷川親方)の名前が出た時点で、安壮富士、将司の名前が出るのは時間の問題だと思っていました。この3人に安美錦を加えた4人は、青森県の同じ相撲道場の出身なんです。
4人は子供の頃から同じ道場の先輩後輩でやってきたから、結束が固い。年長順に海鵬、安壮富士、安美錦、将司ですが、この順番は絶対。将司は関取なのに、仕度部屋で安壮富士から「おい、帯を持てよ」と命令されて、「ハイ、わかりました」と着物を着る手伝いをしたりしているんです。
安美錦だけはガチンコで上位に上がっていますが、残り3人は番付も近い。仮に「明日は負けて」「今日は勝てよ」といわれたら、その通りに星を回すしかないでしょう。
安美錦と安壮富士は、実の兄弟です。ただ、力の差は歴然としていて、弟(安美錦)は出世したが、安壮富士は幕内経験が2場所で十両にしがみついているという状況。弟への意地やプライドもあるでしょうし、相撲で勝てなかったとしても、何としても将来、年寄として協会に残る術を考えていたんだと思います。
ボクは週刊ポスト前号で、同部屋だった“ある力士”の話をしました。
大阪場所のときに、タニマチが体育館まで送ってくれる車中で、「今日、ガンバレよ」と声をかけると、その力士は「今日は大丈夫ッス」と答えて、腕に注射(※角界の隠語で八百長相撲のこと)する格好をした。タニマチが「いい加減にしろよ」と笑いながらたしなめると、「仕方がないッス。まだ(年寄として)残れないんですよ。あと少し頑張らないと」といった、この力士こそが実は安壮富士なんです。
※週刊ポスト2011年3月25日号