高校の同窓会の幹事をしているAさん(40代・男性)。そろそろ同窓会のプランを立てようかと、久しぶりに女性幹事に電話をかけた。ところが女性幹事は、なぜか乗り気ではない様子。その理由を聞いてAさんは愕然とした。
「実は時々女子だけで集まって、食事会や飲み会をやっているというんです。女性客だけなら“女子会プラン”といって飲み放題が半額になる店もあるとかで……。女子の間では“男子と一緒の同窓会は高くつくし、当分やらなくていいよね”みたいな話になっているらしいんです」
Aさんはこみあげる怒りをおさえつつ、「そんなこといわないでよ。男子は楽しみにしてるんだから」と、平身低頭、女性幹事を懸命に説得したのであった――。
いま飲食業界では「レディースプラン」やら「女性限定メニュー」「女性割引」など、女性だけお得なプランが花盛りである。曜日や時間限定の場合も多かったが、最近ではほとんど日常化。対して「メンズ割引」は全く広がる気配がない。
大手居酒屋チェーンの「笑笑」では、通常料金からして男女の料金が違う。2時間制の宴会コースの場合、料理8品で男性3300円、女性2900円。「飲み放題」は男性1300円に対し、女性900円。合わせて800円の料金差なり。イマドキは男性以上に飲むうわばみ女性も多いはずだが。
さらに「笑笑女子会」といって、女性のみ3名以上なら、3500円で60種類の食べ物と60種類の飲み物が3時間飲み放題食べ放題という夢のようなプランもある。
笑笑の広報担当者はこう語る。
「2009年11月から関東首都圏を中心に始めました。昨年5月からは全国店舗に拡大し、年間を通じて展開しています。居酒屋に入りづらいという女性にもお越しいただくというコンセプトで、女性専用のメニューをつくっています」
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、レディースデーが広がる理由をこう解説する。
「水曜日は週の半ばのため、中だるみして売り上げや稼働率が落ちる傾向がある。そこで消費意欲が旺盛で感度が高い女性客を呼び込もうと、女性客に向けてさまざまなサービスをするわけです。女性客そのものもお金を落としますし、女性客をつかまえれば、その女性を誘いたい男性もついてきますからね」
一方、メンズデーについては「成り立ちませんね」とアッサリ。男性客にはメンズデーを成り立たせるだけの消費意欲も活力もないというのである。
※週刊ポスト2011年3月25日号