おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が、「米国人と国歌」について解説する。
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日本じゃ、ジャイアントパンダがまたブームなんだって。上野動物園にやってきた2頭のパンダたち、元気ですか~? 思い返せば約30年前、初めて新幹線に乗り、ランランとカンカンを見に行ったのが、家族初の東京旅行だったっけ。
2時間も待ったのに、見られたのは寝顔だけ。ああ、日本人って、どうしてこんなにもパンダが好きなの? アメリカのパンダを見て、ビックリ仰天。ひえええええ、日本のパンダと、全然違うじゃーん!
一言でいうなら、DCのパンダは「アメリカ人みたい」だったのだ。昼間でも寝てない。バリバリバリと笹を食べたり、木登りしたり、むちゃくちゃアクティブ。おまけ、観客を喜ばせ、「ワォ」とか「オーマイガッ」とか歓声を上げさせるのがうまい。まさに、プレゼン能力の高いパンダ、って感じ!? 私は心底驚き、感動した。結局1時間、パンダ舎の前から動けなかったよ。
それ以来、こう信じている。「パンダの性格は、連れてこられた国の国民性に似る」。アメリカに来ると自ずとパフォーマンス上手になり、日本に来ると人前での派手な行動を慎むようになるのではないか?(……って、書きながら気付いたけど、単に、日本にいたパンダは当時高齢で、DCのパンダはずっと若かった、ってだけの話かも)。
20年以上前、中国の動物園でもパンダを見たことがある。グウグウと寝ているパンダに中国人客が石を投げつけ、「起来了(起きろ)」と叫んだのには驚いた。「日本じゃ、冷暖房完備のガラス張りの個室(今は床暖房!)で、VIP待遇なのに」と。
※週刊ポスト2011年3月25日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第137回より抜粋)