国際情報

中近東・アフリカの民主化「ネットは引き金で本質は空腹」

中近東・北アフリカ各国ではドミノ倒しのように「ネット革命」が広がった。世界経済を牽引する中国でも厳戒態勢が続く。市場では、地政学的リスクを読んで原油や資源、食糧などの価格が高騰し、マネーの流れが激変している。これから世界経済はどう変わるのか。週刊ポスト2月4日号で大胆な予測を打ち立てて大反響を呼んだ「経済の千里眼」菅下清廣氏が読み解く。

* * *
世界は政治的・経済的に3つに色分けすることができます。まずは日米欧など先進国で構成される第一世界、BRICs(※)など新興国を中心とした第二世界、そして中東やアフリカのように、先進国の技術やサービスが最後に伝わる第三世界です。今回はこの第三世界で「ネット革命」が起きたわけですが、いずれは第二世界、特に統制国家である中国やロシアに伝播することは、ほぼ間違いないでしょう。

中近東・北アフリカの動乱は、ネットによる情報伝播に注目が集まっていますが、それは引き金にすぎず、民衆を動かした本当の原因は食糧価格の高騰です。例えばリビアでは、民衆はパンを満足に食べられないのに、カダフィのファミリーだけが贅沢な暮らしをしていた。ネットにより民衆がそれを知ったことが、この騒乱を起こしたのです。

中近東・アフリカには同じ状態の国がたくさんありますから、この現象が広がることは避けられません。皮肉なことに、第三世界には資源国や農業国が多く、今回の動乱で生産が滞り、むしろ資源や穀物の世界的な価格高騰は加速するでしょう。そうなると、13億人分の食糧を確保しなければならない中国など、第二世界にも大打撃です。民衆が暴発する危険も高まります。今の異常な警戒ぶりを見れば、中国共産党首脳も内乱の危険性を十分に把握していることがわかります。

そして、第二世界に動乱が波及すれば、世界経済にはますますインフレ圧力が高まり、それは特に経済基盤の弱い途上国や新興国を苦しめるという「負の連鎖」を招きます。第二世界に政変リスクが出現したことにより、世界のマネーの流れも変わりました。中国やインド、ブラジルなど新興国にお金を回せば儲かるという手法に警戒感が出てきた。そしてマネーは、安全な日米欧などの第一世界へ回帰すると見ています。

そうなると、国際的な投機資金の流出と食糧の高騰で、世界経済を牽引してきた中国経済の失速は避けられません。株式や不動産市場をソフトランディングさせられればいいですが、最悪の場合、バブルの崩壊、資産の大暴落というシナリオも考えられます。

中国政府は民主化を進めて対応しようとするでしょうが、20 12年の習近平への指導体制の移行までは方向性を明示できない。今後1年間の過渡期で、中国経済は不安定になると思います。

(※)BRICs/近年、経済成長の著しい新興国のこと。ブラジル、ロシア、インド、中国の4か国の頭文字を並べて名付けられた。

※週刊ポスト2011年3月25日号

トピックス

参政党は国政経験が乏しく、国会議員経験者を積極的に受け入れているという(時事通信フォト)
《参政党議席増で高市政権連立入りの可能性》 重婚疑惑に「このハゲー!」発言…自民党を追われた“すね傷議員”を続々擁立か「自民党に恩を売る絶好の機会」
NEWSポストセブン
村上宗隆(左)と岡本和真の「契約内容の差」が注目を集めた(時事通信フォト)
《メジャー移籍の主砲2人の現在評価》「2年総額53億円」村上宗隆と「4年総額94億円」岡本和真に“差”がついた理由 “割安に見える契約”の背後には周到な戦略も
週刊ポスト
工藤公康氏(左)×山本昌氏のレジェンド左腕対談(撮影/藤岡雅樹)
【レジェンド左腕対談:工藤公康氏×山本昌氏】昭和から近代野球への過渡期世代 工藤氏「六本木で遊んで寝ないで投げて完封した」伝説の真相
週刊ポスト
“マッサージ店”の元マネージャー、プンシリパンヤー・パカポーン容疑者(38)。12歳のタイ少女にわいせつな行為をあっせんさせた疑いがある(写真右:時事通信)
〈仕事の初日、客は1人〉〈怖くて手も腕も足も震える〉押収物の“日記”に綴られた壮絶な日々……12歳タイ少女に性的サービスあっせんの“ブローカー”タイ人女性(38)が検挙
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から遺体が見つかった事件。逮捕された松倉俊彦容疑者(49)、被害者の工藤日菜野さん。(左・店舗のSNSより、右・知人提供)
「2人の関係は公然の事実だった」飲み屋街で目撃されていた松倉俊彦容疑者と被害女性の“親密な関係” 「『嫁とはレス』と愚痴も」【日高・看護師死体遺棄】
NEWSポストセブン
苦戦が予想される岸信千世氏(時事通信フォト)
《総選挙・注目選挙区を予測》橋本龍太郎・元首相の息子、安倍晋三・元首相の甥は苦戦の見通し 「反高市」の武田良太氏は維新現職と与党同士の潰し合いに
週刊ポスト
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
「長期間歩かずにいたせいで神経に影響」クスリ漬け、歯を全部抜かれたのでは…中国ギャル系インフルエンサー(20)の現在の容態《“詐欺集団の幹部の恋人”説に本人が「以前はね」》
NEWSポストセブン
島根県の私立松江西高校で男子生徒が教師と見られる男性に暴言や机や椅子を投げたりする動画が拡散されている(HP/Xより)
「謝れや、オラァ!」私服の生徒が暴れ、“おじいちゃん教員”は呆然と立ち尽くし…「炎上した動画は氷山の一角です」島根・松江西高校のOBが明かした“環境激変”の実情
NEWSポストセブン
2025年に成年式を終えられた秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
「後継者は悠仁さま?」伝統の書道“有栖川流”、眞子さまは「筆致に賛否」佳子さまは「左利き」……秋篠宮家「書道教育」事情
NEWSポストセブン
年末に放送された『ザ・ノンフィクションの大みそか2025~放送30周年スペシャル~』司会の吉岡里帆、出演したクズ芸人の小堀敏夫
《消えた「女優・吉岡里帆の笑顔」》相方にも愛想尽かされて解散…クズ芸人・小堀敏夫氏がコンビ解散の真相を激白
NEWSポストセブン
照ノ富士(右)と先輩・白鵬の立場は逆転か(時事通信フォト)
《元横綱・照ノ富士》高まる伊勢ヶ濱親方の存在感 弟子の四股名は変更し、スカウト網もその手に…“白鵬の残したすべて”を獲得する勢い
週刊ポスト
「新年祝賀の儀」で彬子さまが着用されていたティアラが話題に(時事通信フォト)
《これまでと明らかに異なるデザイン》彬子さまが着用したティアラが話題に「元佐賀藩主・鍋島家出身の梨本宮伊都子妃ゆかりの品」か 2人には“筆まめ”の共通項も
週刊ポスト
「1000万円が1年4か月で5倍」「5300万円が3年で5億円」投資家・志水雅己氏が振り返る「大化け米国株」の投資遍歴 情報収集はとにかく1次情報重視、AIを“壁打ち”に活用
「1000万円が1年4か月で5倍」「5300万円が3年で5億円」投資家・志水雅己氏が振り返る「大化け米国株」の投資遍歴 情報収集はとにかく1次情報重視、AIを“壁打ち”に活用
マネーポストWEB