先頃「自由報道協会」を設立したジャーナリストの上杉隆氏が、茂木健一郎氏との対談で記者クラブの閉鎖性を指摘している。上杉氏はこう語る。
* * *
上杉:確かに日本のマスコミはゾンビ企業ですね。すでに死んでいるのに気づいていない。先日、あるトークショーが終わったあと、楽屋に某テレビ局の記者が来たんです。「テレビ局の記者になり、今3年目です。番組で上杉さんを採り上げようと思い、企画を出したら、飛ばされました」といってました(笑い)。
そのあとに今度は別の局の記者が電話してきて、「自由報道協会(※)を追いかけたいんですけど、追ってることがバレると飛ばされるので、今日、来たことはいわないでください」と。
茂木:北朝鮮や中国みたい。本当に終わっていますね。
上杉:自由報道協会の主催で小沢さんや竹原信一・前阿久根市長の記者会見を開いても、記者クラブメディアは「自由報道協会主催」というクレジットを出さない。例外はNHKだけですね。彼らは怖くて現実を直視できないわけです。
茂木:恐怖に駆られているから攻撃的にもなる。
上杉:むしろ記者会見を開放すれば、今までよりはるかに自由に伸び伸びと仕事ができるのに。海外では日本のカメラマンは優秀と評価されているし、記者も基礎学力が高く丁寧に取材すると認められている。ところが、集団になった途端、変貌する。わざわざ自分から牢獄に入って、その牢獄を守っている奇妙な集団という扱いになっている。
茂木:ほとんどストックホルム症候群ですね。これは銀行強盗などで長期間人質になると、犯人に同情して協力するようになるという症状ですが、記者クラブメディアで働いていると、本当は監獄に縛られているのに守られていると勘違いして会社を愛してしまう。
上杉:記者クラブシンドロームですね。
茂木:早く目を覚まして、自分たちで牢獄から出てくればいいんだよね。
※自由報道協会/オープンな記者会見を実現する場として、上杉隆氏を暫定代表に設立。1月27日の小沢元代表会見を皮切りに、これまで堀江貴文氏、松沢成文氏などの会見を実現している。
※週刊ポスト2011年3月25日号