落下傘候補が乱立する今回の都知事選は、未曽有の大混迷である。その中で人気で先行するのは東国原英夫・前宮崎県知事だ。自民党関係者はこう語る。
「東国原は、宮崎の評判を聞くと結構な“利権屋”で、都庁を握ればきっと利権の付け替えをやる。だから自公は『東国原は絶対ダメ』と嫌っている」
テレビ受けするから大メディアではヨイショされているが、東国原氏の宮崎での評判は芳しくない。東国原氏を支えたブレーンはこう語る。
「公務よりテレビ出演が優先で、観光とマンゴーのPR以外に目立った実績はなかった。口蹄疫では失政続きだったし、鳥インフルエンザは、危機のさなかに辞めてしまった。支持者も多かったが、嫌う人も同じくらいたくさんいた。
特に県庁幹部は全くついていかなかった。多くのブレーン、支持者も1期目途中で去った。再選しても何もできなかっただろう」
確かに、東国原県政下で、宮崎の経済、雇用、所得は下降の一途、県財政もますます悪化している。東国原氏は「青島(幸男)ブーム」の再来を狙っているようだ。スポーツ紙やテレビを使って威勢のよい言葉で都民を煽り、今のところ功を奏しているように見える。
ただし、スキャンダルの心配もある。暴力事件や少女淫行など過去の不祥事を取り沙汰され、さらに宮崎での実績が知られるようになれば、都民に総スカンを食う恐れもある。
※週刊ポスト2011年3月25日号