夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、ご主人(46歳)がOA機器メーカー勤務の奥様(46歳)。ご主人は珍品集めが趣味なのだとか。
* * *
主人が「これは我が家の家宝になるぞ」と集めてきたのは「遠山の金さんの桜吹雪を彫った針」とか「岡本太郎が赤ちゃんの時にしていたオムツ」など、「どうやって信じればいいのよ!」と思う物ばかり。
日頃は常識人なのに、骨董となると「ひょっとしてバカ?」と思ってしまうことしばしば。ひどかったのは「源義経10歳の頭蓋骨」を買ってきた時。「頭が小さいだろ、それが10歳という証明だよ」と自信ありげだったけど、義経は30歳で死んだのよ。10歳の頭蓋骨があるわけないでしょ!
そんな主人が「シーボルトが使っていた古伊万里の絵皿だ」と、古びたお皿を嬉々として買ってきました。お隣の奥さんに「今度はこんな物を買ってきたの」と愚痴混じりに見せると、奥さんは気の毒そうな表情で、「うちのワンちゃんのエサ用のお皿で使ってもいいわよ」。それならと、1000円で譲りました。
ところがその夜、帰宅した主人は慌てて、「あのお皿、美術雑誌で見たら60万円もする品だぞ!」。エ~ッ! 早くいってよ!
「60万円のことは内緒にして、『主人が勝手に手放したことを怒ってる』と、1万円渡して買い戻してこい!」といわれて引き取ってくると、さっそく絵皿と美術雑誌を見比べた主人。「アレッ? 同じものだと思ったのに、全然違うなァ」って、結局、余計に9000円の出費じゃない! いいかげんにして!
※週刊ポスト2011年3月25日号