昨年までの上昇から一転、2011年に入ってからは一進一退が続いている中国株。はたして今後はどのように推移していくのか。『中国株「黄金の10年」』などの著書があるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が解説する。
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中国企業の業績は相変わらず絶好調だが、インフレ懸念から昨年10月には中国人民銀行が利上げに踏み切るなど、金利上昇が中国株にブレーキをかける格好となっている。これも見方を変えれば、景気がよいためにインフレ率が高く、金融引き締めに転じているにすぎず、本格的な業績相場への移行段階と見て間違いないだろう。
一方で先進国の金融緩和は続いているため、世界にマネーが溢れている。それらが現在は中国を除く新興国に流れ込み、インドネシアやタイなどでは最高値を更新。「新興国バブル」と化しているような状況にある。
では、中国株は今後どうなるのか。他の新興国バブルが膨らむにつれ、相対的に中国株に割安感が出てマネーが流れ込むシナリオは十分に想定できる。ましてや2012年には、5年に一度の最高意志決定会議である共産党大会を控えているため、それまでに政府は何としてもインフレを抑え、再び景気拡大政策に舵を切ることが期待されている。
何よりも実体経済は非常に強い。内需関連を中心に中国企業の業績は大きな伸びを見せている。例えば、昨年末に私が訪中した際に話を聞いた製薬会社のIR(投資家向け広報)担当者によると、「中国の製薬業界全体で2010年上半期の売上高成長率は25.11%増、利益成長率は37%増に上る」とまでいう。
振り返れば、かつての中国株は2004年の金利上昇時に調整局面に入ったが、翌2005年後半から業績相場に移行し、2007年秋のピークに向けて、株価も大きく高騰した。現在も昨年後半からの金利上昇による調整局面にあることを考えれば、この2011年後半にも業績相場入りする可能性は高いと見ている。来る「中国株バブル」に向けて、その一歩手前である今こそ、絶好の仕込み場といえるだろう。
※マネーポスト2011年3月号