危険な福島原発の真っ黒な建屋内で、被曝するかもしれないという恐怖と闘いながらも、懸命な活動を続けている作業員たち。現場周辺にいた800人の作業員のうち、残ったのは注水作業員50人のみ。かつて原発内の現場で働いていた元作業員がこう話す。
「実際に炉心にはいって作業するのは、電力会社本体の社員ではなく、末端の下請け会社の従業員が多いんです。そこで私がいつも気にしていたのは、“タマがあるかないか”ということでした。
どういうことかというと、人間が1年間に放射線を浴びても大丈夫な許容量を国が決めているのですが、作業員は毎日のように炉心付近で作業するわけですから、当然、あっという間に、その許容量は少なくなっていくんです。“タマ”とは、あとどれくらい許容量が残っているかということなんです。
当然、会社としては、タマがたくさん残っている人を集めたい。作業を円滑にするためには、本当なら作業に慣れているベテランにお願いしたいところですが、そういう人はタマが残っていない。だから、タマが残っている若い人のほうが起用されるんです。
職場の新人というのは、別に若い人を意味するわけではないのですが、仕事を募集すると、結果集まってくるのは若い人なんです。身元の確認は厳しく、賃金は普通のサラリーマンよりはいいかもしれませんが、破格にいいというわけではありません。それでも、最近はこの不況ですから、仕事を求めて集まってくるんです」
※女性セブン2011年3月31日・4月7日号