震源地からおよそ400キロ離れた東京都心にも地震は大きな被害を及ぼした。3月11日の東北関東大震災で、震度5強を観測した首都圏では、JRも地下鉄も完全にストップした。首都圏の主要な駅だけでも足止めされた人は約2万7500人に上った。JRは午後6時過ぎに、同日中に復旧をしないことを発表。私鉄も再開まで早くても6時間以上かかった。バスの一部やタクシーは動いていたが、自宅を目指す車があふれ、1キロ進むのに30分以上もかかる大渋滞で、身動きもとれなかった。
そんな状況下でも大事故や大混乱が起こらなかったのは、さすが規律正しい日本人、とアメリカのニュース専門放送局CNNなど海外のメディアも絶賛している。助け合いの精神でボランティアを行う人たちや店も多かった。おにぎりや飲み物を配った飲食店やロビーを宿泊所として開放し、毛布を貸したりパンなどの軽食を提供したホテルもあった。
渋滞の中、タクシーは乗客を乗せていてもメーターを「回送」や「予約車」にし、運賃が上がりすぎないように配慮していた。
「当日は地震直後からお客さんが途切れることがありませんでした。実車にしているのに乗せてくれと駆け寄ってきた30代くらいの女性がいたんです。事情を聞くと“家に小さい子供が1人きりでいるのでとにかく少しだけでも乗せてほしい”というんです。乗ってたお客さんも同じ方面だからどうぞといってくださって」
タクシーは営業できるエリアが決まっていて、都内のタクシーは基本、他県では乗せてはいけないというが、
「この日は私も営業圏外とわかっていましたが、お乗せしました。こんなときこそ支え合う心を持てたらと思って」(タクシー運転手)
※女性セブン2011年3月31日・4月7日号