男尊女卑が根深いとされた雇用の面で、女性の立場は改善されつつある。
総務省の2010年労働力調査によると、完全失業率は、男性が5.4%(前年比プラス0.1ポイント)に悪化したのに対し、女性は4.6%(同マイナス0.2ポイント)に改善され、明暗がくっきり。
「正社員の減少傾向が続くなか、男性は正社員希望が多いため、再就職で苦戦を強いられている」というのが総務省が発表した見解である。
「女性の方がある意味、選択肢が広い」というのは、人材コンサルタントの常見陽平氏である。「日本には管理職の女性の割合が少ないのが問題ですが、それでも総合職から一般職、派遣社員、アルバイト・パート、そして専業主婦まで、さまざまな道が開かれている。
ところが男性は基本、全員が幹部候補生で、右肩上がりの出世コースしか想定されていない。“頑張りすぎない生き方”が認められていないんです。
女性の場合には“係長ぐらいでいい”というキャリア組もいるし、ある大学ではキャリアセンターに来て“どうやったらお嫁さんになれますか”と聞いた女子学生がいたという。女性には幅広く『就職』の道があるのに、多くの男性には“正規か非正規か”しかない。一直線の滑り台なんです」
出世コースしか選択肢がない男性。ならば当然、所得では女性を上回っていいはずだ。ところが総務省の2009年調査によると、30歳未満の勤労単身世帯において、税金などを差し引いた月の可処分所得は、男性が21万5500円、女性が21万8100円と、女性が2600円上回っていることが明らかになったのだ。調査を開始した1696年以降、男女の可処分所得が逆転したのは初めてのこと。
※週刊ポスト2011年3月25日号