北も南もエリアが広がった新幹線を利用して、遠方への旅行を計画している人も多いだろう。そんなとき、ぜひ知っておきたいお得な裏ワザを旅行ジャーナリストの村田和子氏が伝授する。
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JR乗車券には、以下のようなルールがある。
【1】乗車券の有効期間は、営業キロが100キロまでの場合と大都市近郊区間では「発売当日のみ有効」だが、101キロ以上の乗車券では、営業キロ数に応じて有効期間が延びる。
【2】乗車券は、後戻りしない限り何回でも途中下車できる(営業キロが100キロまでの普通乗車券と、回数券、特急券、急行券、グリーン券、指定席券など一部のきっぷは途中下車不可)。
【3】営業キロが600キロを超え、往復とも同一経路の場合、往路・復路の乗車券がそれぞれ1割引になる(往復割引乗車券)。
【4】往復乗車券の有効期間は、片道乗車券の2倍。
これらを活用すると、目的地の手前で途中下車し、いくつもの町で観光や宿泊を楽しむ、という旅のプランづくりができる。
たとえば、こんなプランはいかがだろう。私が今年、個人的に注目している観光スポットが、姫路城だ。3月26日に姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」がオープンする。工事用の足場にエレベーターと展望室が設けられ、約3年間の期間限定で、世界文化遺産・姫路城の修復作業が見学できるのだ。
東京から姫路までのJR営業キロ数は、644.3キロ。往復割引が適用されるうえ、往復乗車券の有効期間は、片道乗車券の2倍の10日間。10日をフルに使ってもいいが、2泊3日で考えるならば、初日は新大阪まで新幹線を利用し、大阪で途中下車して1泊。2日目はJR在来線の新快速に乗り、約1時間で姫路へ移動。新幹線を使えば新大阪-姫路間は29分だが、特急料金が別途必要になるので、在来線を利用するのがポイントだ。
1日たっぷり観光を楽しんだ後は、そのまま姫路で泊まってもいいし、復路の乗車券を使って三宮で途中下車し、神戸で1泊してもいい。そして最終日は、途中下車を活用して神戸観光をした後、在来線で新大阪まで行き、新幹線で東京へ帰る。
こんなふうにきっぷを使えば、一回の旅行で大阪・神戸・姫路の3都市を観光できる。しかも、東京から姫路まで新幹線で直行する場合と比べ、姫路-新大阪間の特急料金の差額分(610円)が浮く計算だ。営業キロ数やJRきっぷに関するルールなどの情報は、時刻表に記載されている。時刻表を片手に、同じ交通費で何倍も楽しめる途中下車の旅プランを練るのも、面白いだろう。
※マネーポスト2011年3月号