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食べ応えあるが胃にもたれないチキンカツ 秘密は弱ったラード

■『とりかつCHICKEN』の「とりかつとメンチかつ定食」650円

 気合いを入れたいときにどうしても食べたくなるのがカツ料理。……というわけで、雑誌『料理王国』元編集長の土田美登世氏がセレクトした、『とりかつCHICKEN』(東京・渋谷)の「とりかつとメンチかつ定食」を紹介する。

 * * *
 健康体なのにノンオイルに走るのは、うまさを放棄しているように思える。調理性といい食感といい味といい、やはり油は優秀である。揚げ物はその特性の賜物だ。

 渋谷の老舗「とりかつCHICKEN」のかつはそんな揚げ物のよさを庶民的な値段で再認識させてくれる。店名のとりかつをはじめ、どのかつも衣はサクサクで中はジューシー。おかずとしてほどよくて、ご飯が進む。食べごたえはあるのに、あとから胃にもたれなかったことも好感度は大。

「少し弱ってきて角のとれた上質のラードで揚げるのがいいのよ」

 そう語るのは店主の関口君子さんである。フライヤーをのぞくと溶けたラードが黒くなっているのだが、この新しくも古くもない油の加減がコツのひとつなのだという。

 関口さんは、現在は仕込みだけをして“揚げ”は技を伝授した息子さんに任せている。ところで、実は関口さんは86歳。うそ!? 肌つやつや! ほどよい油は長生きの秘訣とみた。

■『とりかつCHICKEN』の「とりかつとメンチかつ定食」650円

【住所】東京都渋谷区道玄坂2-16-19ミヤコジビル2F
【営業時間】11~15時、17~20時(水は11~15時のみ)
【定休日】土日祝
【カード】不可

 渋谷で揚げ物といえばココ。道玄坂に店を構えて約30年近く経つ老舗だ。店名になっているとりかつのほか、とんかつ、ハムかつなど10種類以上の揚げ物メニューのなかから2品組み合わせていずれも650円という安さが魅力。3品で800円という組み合わせもできる。カウンターの上に置いてあるソースは店のかつに合うようにと独自にブレンドしたもの。

撮影■河野公俊

※週刊ポスト2011年3月25日号

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