マグニチュード9.0を観測した今回の東北関東大震災。これに続いて、房総半島沖を震源にした大地震が発生する可能性を指摘する専門家も出てきた。もし、房総沖で大地震が発生した場合、気になるのは被害の大きさだ。京都大学名誉教授の川崎一朗氏はこう予測する。
「マグニチュード8クラスの地震となるんじゃないでしょうか。今回より大きな被害が出る可能性もあります。震源がより陸地に近づきますからね」
千葉県の地震被害想定調査(平成19年度)によると、1703年の元禄地震をもとに被害予測を試算している。この元禄地震は房総沖を震源としたマグニチュード8クラスで、今回指摘されている房総沖大地震とほとんど条件が一緒だ。
この資料によれば、地震により津波が海岸沿いを襲う。九十九里浜のある九十九里町や大網白里町といったところでは、2メートル以上の浸水の恐れがあり、少し内陸にはいった東金市などにも浸水の可能性がある。そして人的被害は、防波堤などの津波防災施設がないものとして計算すると、死者2771人、重傷者1096人、負傷者3747人という驚愕の数字が予測されているのだ。
ただし、今回の地震同様、想定外の大きさのものが襲う可能性もあるわけで、その結果は私たちが目にした通りだ。東京により近いということから、もし東京湾から津波が押し寄せたら、海抜0メートル地帯が多い東京が水没し、首都の機能は麻痺することも危惧される。
「100%と断言はできませんが、房総沖で地震が起きても津波の水が東京に流れ込むことはありえません。東京湾は入り口が狭いので、外で起きた大地震による津波が大きな被害を及ぼすことは考えづらいんです。まあ、流れ込んだとしても1メートルくらいのもので、今回の大震災のような大災害にはならないはずです」(前出・川崎氏)
とはいえ、震源がより近づく分、東京でもビルの倒壊や火災の被害は充分に考えられる。東京直下型地震なら死者は最大で1万3000人に達し、避難者は700万人、さらに経済損失は112兆円に上るとされている。房総沖地震は直下型ではないものの、今回の地震より震源が近い分、充分な対策が必要となりそうだ。
※女性セブン2011年3月31日・4月7日号