元手は少ないが、もっと効率的に資産を殖やす方法はないか。そんな悩みを持つ投資家にピッタリな商品がCFDだ。
CFDとはContract For Differenceの略で日本語では差金決済契約となる。通常の取引では、買うときに代金を支払い、売るときに代金を受け取るが、差金決済では「買い」と「売り」という1回の取引が終了した時点で差額のみを決済する。よって売買代金を用意する必要はなく、少額の証拠金さえ預ければ売買が可能になる。
CFDはロンドンが発祥の地で、いまではロンドン証券取引所の取引高の30%を占めるといわれるとてもメジャーな商品だ。日本では2008年ごろから取り扱いが始まった比較的新しい金融商品。
CFDのメリットは大きく3つある。一つ目は銘柄数が豊富ということ。国内外の株式の個別銘柄から株価指数、債券、コモディティと、世界中で投資対象とされているあらゆる資産に投資が可能で、その数は数千に及ぶ。また、通常であれば外国株やコモディティを取引しようと思えば、それぞれ別々の口座を開設する必要があるが、CFDでは日本株から外国株、コモディティまでひとつの口座で管理できるという利便性もある。
2つ目はレバレッジが利用できること。CFDは前述のように差金決済であるため、売買代金をすべて支払う必要はない。証拠金を預けるだけで取引が可能だ。どのくらいの証拠金が必要なのかはCFDの種類によって異なる。これをレバレッジ倍率という。それぞれの倍率は表の通りだが、たとえば株式CFDであれば5倍。仮に10万円の証拠金があれば売買代金に換算して50万円分の取引が可能になる。
さらに日本株の取引の場合、通常は100株単位、1000株単位など、銘柄によって売買単位が決まっているが、CFDなら1株から可能。たとえば1株3万円で100株単位の銘柄でも、CFDなら3万円の5分の1、つまり6000円で売買ができるというわけだ。
FX(外国為替証拠金取引)の経験がある人なら「レバレッジが低い」と感じるかも知れないが、為替に比べて株式やコモディティはそれ自体の値動きが大きい。例えば為替相場が1週間で10%の値動きをすることはあまりないが、株式の個別銘柄であれば20%、30%の値動きをすることもある。レバレッジは低目でも十分なハイリスク・ハイリターン投資が可能になる。
3つ目は「売り」からも取引できること。通常の取引では「安いときに買って、値上がりしたら売って利益を得る」が、CFDでは「高いときに売っておいて、値下がりしたら買い戻して利益を得る」ことが可能。リーマン・ショックのように相場が大きく下がる局面でも十分な利益が狙える。
※マネーポスト2011年3月号