昨年冬、ハーバード大学を訪れた千葉大学の小林正弥教授はマイケル・サンデル教授の「Justice」の講義を聴講した際に、ちょうどサンデル教授に質問に来た日本人学生と出会った。
その人物が、一昨年秋にハーバード大学に学部生として入学した唯一の日本人学生、小林亮介君(20歳、桐朋高校卒業)だ。彼が見た「サンデルの白熱教室」とはどのようなものだったのか。直撃した。
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――なぜハーバード大学を選んだのですか。
小林:僕が学びたいのは国際関係論です。この分野の日本の先生方の多くはアメリカでPhD(博士号)を取っておられますし、最終的に世界の人に読んでもらえるような論文を書くなら、アメリカに来なくてはだめだと思いました。
――最近の日本の若者は内向きと言われていますが。
小林:僕は内向きとは思いません。僕のように日本の高校から直接ハーバード大学に進学した学生は、現在1~4年生を合わせても5人ですが、そうした学生は、昔からほとんどいませんでした。むしろ減ったのは企業に入った後に、こちらに留学される社会人の方です。
今の日本の学生の中には、ハーバードなどアメリカの大学だけではなく、アジアやヨーロッパに留学する人も多いと聞いていますし、海外に目を向けている若者は多いので、希望が持てると思います。
とはいえハーバードは学生へのサポートがすごく厚いし、サンデル教授を始め、世界で論陣を張ってきた超一流の学者がたくさんいらっしゃる。学問に打ち込むにはとても魅力的な環境にあると思うので、日本からの留学生がもっと増えて欲しい。そのためにハーバードの学生団体が、東京で説明会などを開いたりしています。
(取材協力・池原麻里子)
※SAPIO2011年3月30日号