2004年、女優の奈美悦子さん(60)は、「掌蹠膿疱症性骨関節炎」という免疫不全の難治病にかかった。これは手のひらや足の裏に膿をもった発疹が繰り返しでき、やがて乾燥する皮膚病の一種で、強い痛みを伴い、骨の変形も引き起こす。前触れもなく襲ってきた異変は、50以上の病院を回っても病名がわからず、治療すらできない状態が8か月も続いた。奈美さんはこう振り返る。
「ひとり息子が困らないように遺書を書いたんです。実印はここにはいっているとか、家の権利証はここに預けてあるとか。意識がなくなってからの延命治療は一切やめてほしい、葬式は密葬で、お墓はいらない。山中湖に散骨してほしい…などと2ページぐらい、20項目を箇条書きにしました。
たぶん死んでいくのだろうと思ったんです。余命がわからないので、早く整理しなきゃと焦りました。サングラスやアクセサリー、着物など集めていたものも、息子にとってはゴミですから、すべて処分してくれ、と。でも一方で、仕事を再開したら、これは必要になるかもしれないと思う自分がいて…」
最後にたどりついた病院でやっと病名が判明。治療が始まり、徐々に回復していった。治療途中で食事療法を試すなかで、腸が免疫機能や自律神経と連携する大事な臓器であることを知り、腸内環境を整えるという雑穀に出合う。雑穀料理を勉強し、雑穀アドバイザーの資格も取得。テレビ局で出されるロケ弁当は食べないなど自分で決めたルールに沿った食生活を実践した結果、3年を経て、病をほぼ完治させることができた。
病気を経験したおかげで、毎朝、“今日も目が覚めてありがとう”と思えるようになりました。大きく深呼吸できたとき、あくびができたときに、うれしくて泣きました」
※女性セブン2011年3月31日・4月7日号