菅直人首相は3月15日早朝、福島の原発事故に際して東京電力本店に乗り込み、「撤退などありえない。覚悟を決めて下さい」とまくし立てたが、16日の自衛隊の注水活動には撤収命令を出した。菅首相はなぜ、常軌を逸した行動に走ったのか。アメリカの民主党ブレーンの驚くべき証言を得た。
「菅総理はオバマ大統領に追い詰められて焦っていた。今回の事故に一番、腹を立てたのが来年の大統領選で再選を目指すオバマだ。クリーン・エネルギー推進を掲げて原発を多数設置する計画を目玉政策にした矢先の事故で、原発への危機感が世界的に高まってしまった。最悪のタイミングだ。
オバマはすぐに腹心のデーリー首席補佐官を“菅の見張り役”に任命し、初期からオペレーションに口出しした。これは未確認情報だが、菅はオバマに電話をかけ、不手際を謝罪したそうだ」
他国の事故対応で危険を冒して活躍している米軍には賛辞が送られるべきだが、そこには米政府の事情も複雑に絡んでいたわけである。
菅首相は、15日中には「米軍機による冷却剤散布」「そのための山形空港の供用」をすばやく決めた。もし、菅氏が怒れるオバマに恐れをなし、国民の安全より何より、まず「アメリカのいう通りに」と考えて東電職員を盾にしようとしたとすれば、「外国人献金」どころではない国家反逆行為だ。
※週刊ポスト2011年4月1日号