東北関東大地震ではメディアに多くの地震学者たち登場した。だが、今回の地震を予知することはできなかった。
地震学者の研究成果は、政府機関である地震調査研究推進本部の「海溝型地震の長期評価」に反映される。長期評価とは今後10年ごとの地震発生確率をさす。報告には、三陸沖から房総沖にかけての震源域で、「7%の確率でM8.2の地震」が想定されていた。
だが、地震調査研究推進本部に問うと、「今回の地震は4つの震源域が連動したもので、長期評価として発表しているものとは違います」と、意図していなかった連絡会前会長の大竹政和東北大学名誉教授が嘆息する。
「正直、想像を超えた地震で、非常に驚いている。まさか、こんなに長大な震源で、巨大な地震が発生するとは……完全に想定外でした」
そして、現在の地震学における予知の限界を認める。「発生場所と規模は正確にその時期については、未だ確実なことはいえない」
1000年に1度といわれる大地震だ。それに対して準備できなかったことをもって、専門家たちを非難するのは酷かもしれない。しかし、国の担当者と学者から出た言葉がって「想定外」では被災者たちも悼まれないのではないか。
※週刊ポスト2011年4月1日号