東北関東大震災で改めて注目されたソーシャルメディア。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏はツイッターなどがマスコミの報じぬ細かな情報を伝えたことを評価した。しかし、ネットメディアのもつ力が再発見された反面、陰の側面も現われていることは指摘する必要があるという。以下、佐々木氏の話だ。
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ヘビーメタルバンド「ラウドネス」が「ライブをやる」と宣言したら、「不謹慎だ」「節電しろ」といった批判が相次いだという。義援金集めが目的でもそんな言われ方をされるのだ。
実は「人がつながって一致団結する」ということと、「圧力をかける空気をつくりだす」という行為は表裏一体で、容易にダークサイドに転ぶ。ある阪神・淡路大震災の被災者は、避難所のテレビで災害報道ばかり続くのにうんざりし、『ドラえもん』が放送されたときに心が和んだという経験を話しているが、それさえ不謹慎だと批判する者がいる。
私は経済活動を自粛する必要などまったくないし、バラエティ番組やアニメを放送しても不謹慎でも何でもないと考える。節電は必要だが、我々は普通に経済活動をし、日常生活を送ればいいのだ。ちゃんと稼がなければ、義援金も送れない。
だから、私は「自粛」「不謹慎」反対運動を立ち上げることにしよう。シンディ・ローパーは地震直後にもかかわらず、東京公演を行なった。カッコイイというほかない。
※週刊ポスト2011年4月1日号