今回の東北関東大震災ではほとんどの人の携帯電話が不通だったはずだ。携帯電話に比べ、被災地との連絡でまだつながったのが固定電話だった。NTT広報はこう話す。
「携帯電話と固定電話は別回線です。今回、つながりやすかった原因は、固定電話の利用者数が少なかったためと考えられます」
そして、それ以上に確実につながったのが、冒頭でも述べたように長蛇の列ができた公衆電話だった。それにはこんな理由がある。
「公衆電話は通信規制がかけられないものが多いため、災害時でもつながりやすいんです」(防災都市計画研究所・村上處直さん)
携帯電話の普及により、設置台数が激減している公衆電話。テレホンカードを常時携帯する人もいなくなっただろうが、結局、それがいちばん頼りになるとは、なんとも皮肉な話だった。
震災時の有効な通信手段といわれているのが、災害ダイヤル『171』と災害伝言板だ。しかし、「いまひとつ使い方がわからない」という声が聞かれた。例えば、今回、『171』を初めて使った20代学生はこんな不満を漏らした。
「携帯電話からかけられたけど、伝言を録音したり、伝言を聞くには相手も自分も固定電話の番号が必要。携帯しか持っていない人は使いようがなかった」
※女性セブン2011年3月31日・4月7日号