「がんばろう! 日本」をスローガンに、第83回選抜高校野球大会が開幕した。
創志学園・野山慎介主将(2年)の、「生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」との選手宣誓から始まったこの大会が、静かな感動を呼んでいる。
甲子園と高校野球を18年間取材し続けているノンフィクション・ライターの神田憲行氏は、こう感慨を漏らす。
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高校野球を18年取材していて、初めて開会式を見て泣きました。あらためて、センバツの開催は良かったなと思う。
「自粛すべき」という声もありますが、電力が安定している関西で、昼間の開催ですから。それに子どもの笑顔を絶やさないことが、せめてもの大人の責任でしょう。
「お前らは普通に毎日を生活してろ。あとは俺らがやるからさ」--開会式で大きく手を振りながら行進する選手たちを見て、私は改めて大人が大人である自覚を持ちました。
応援は阪神大震災のときと同様にタイコなど鳴り物は禁止ですが、私は楽しみにしていることがあります。宮城から出場する東北高校の五十嵐監督。青年監督の五十嵐さんは、ベンチの最前線に立ち、大きな声で選手を励ますスタイルをとる。
「笑って笑って!そう、その笑顔だよ!」
「いいよいいよその振り、ナイスバッティングだよ!」
鳴り物がない球場の中で五十嵐さんの声が響く様を私は夢想します。それは選手だけでなく、観ている私たちを鼓舞する声になるはずだから。