かの俳聖・松尾芭蕉に「扶桑第一の好風」(日本一の景色)といわしめた日本三景の一つ、宮城県の松島も被災した。260余りの島が点在するが、現地で空撮した本誌カメラマンによれば、外見はあまりダメージを受けているように見えなかったという。
だが、懸念されるのが、油の影響だ。周囲の海には油のようなものが広がっている。
松や土が、油や化学物質が混じった津波をかぶり汚染された場合、どのようなことが考えられるのか。
森林総合研究所の坂本知己氏はこう見る。
「油で松の表面がコーティングされる格好になる。幹や葉は気孔で呼吸しているので、松の樹勢は衰え、枯れる可能性も考えられる。根についても、津波によって表土がはがれ、細根がき出しになってしまうと、油で何らかのダメージは否めない。とにかく松を水で洗うのが先決だが、現実問題として難しいでしょう」
※週刊ポスト2011年4月1日号