現地経済の復興、および国全体の景気への影響は、いずれも阪神のケースが大いに参考になる。
地元経済は、さすがに震災直後には大きなダメージを受けた。事業所・企業統計調査(総務省)によれば、神戸市の事業所数は震災前が8万5737か所、震災直後が7万6042か所。約1万社が倒産したことを示している。この数はなかなか回復せず、2006年でも7万2788か所。震災の傷が深かったことがわかる。
ただし、製造業出荷額で見ると、震災前は3兆2292億円、震災直後が2兆7095億円で、2008年には3兆991億円まで回復している。さらに、国内景気の影響が小さい神戸港の輸出額では、震災前が4兆6704億円、震災直後が2兆8895億円で、震災から2年後の1997年には、早くも4兆7264億円と震災前を上回り、リーマンショック前の2007年には6兆2223億円まで急伸した。
全体的には国内景気の影響が大きいことがうかがわれるが、輸出額などを見ると、実際には震災から時間をおかずに急ピッチに回復したことが推測できる。
※週刊ポスト2011年4月1日号