夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、食品会社勤務のご主人(45歳)。奥様(46歳)と一緒に息子さんの中学校の卒業式に出席しました。
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卒業式が終わると、女房が「下級生の女の子にお小遣いを渡して、『息子の学ランの第二ボタンをもらってやって』と頼んでおいたのよ。中学卒業のよい思い出になるし、男としての自信もつくと思うの」と、僕に耳打ち。
隠れて見ていると、女房のいう通り、女の子が息子に近づき、第二ボタンをもぎ取っていきました。それを確認し、息子に駆け寄った女房は「モテちゃってぇ~、見たわよ!」。
でも、息子は浮かない表情で、「あの子、ブスだし。正直、迷惑だよ」。そういって、さっさと先に歩いて行きます。僕が女房に「どうしてもっと可愛い女の子にしなかったんだ?」と小声でいうと、女房は「アナタのせいよ!」と突然、激怒。
「男の子は母親に似るというのに、アナタにそっくりのモテない顔だから、私が苦労していろいろやってやらなきゃいけないのよ。それなのに、あの子、『ブスだし』だって! あの女の子、可愛いじゃないの! フン! 父子揃って女性を見る目がないんだから!」
それならいわせてもらうけどなあ、お前を選んだのは、このオレなんだぞ!
※週刊ポスト2011年4月1日号