難聴の発症には9歳以下と20~30代の、2度のピークがある。特発性両側性感音難聴は両耳の聴力が徐々に低下する病気で、遺伝子が関与することもある家族性以外は、原因が不明なことが多い。難聴を自覚した時点で発症からかなり時間が経っていることも多く、重症化しやすい。治療は高気圧酸素療法などだが決め手はなく、補聴器や人工内耳手術など補助療法で対応する。
特発性難聴はその名の通り発症原因が不明で、徐々に症状が進行し、耳の聞こえが悪くなる病気だ。1~9歳までと20~30代という2つの発症ピークがある。片耳のみで発症することもあるが、両耳の聴力が徐々に低下するのが、成人にも発症リスクの高い、特発性両側性感音難聴だ。
近年遺伝子研究が進み、家族性の難聴については、特定の遺伝子が関与していることがわかっている。しかし大半は原因不明で、ある日気づいたら耳の聞こえが悪くなっていたということが多い。東京医科歯科大学医学部附属病院耳鼻咽喉科の喜多村健教授に話を聞いた。
「特発性両側性感音難聴は、三半規管の問題ではなく、内耳の蝸牛(かぎゅう)やその周辺に何らかの障害が起こる病気です。めまいなどの症状は伴わないことが多く、聴力検査で発見されたときには症状が進行していたということもあります」
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年4月1日号