おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が、「米国人の病気治療事情」について解説する。
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移民でにぎわう英会話教室に行ったら、先生役のアメリカ人ボランティアたちが医療ツーリズムの話題で盛り上がっていた。
「最近、インドに心臓のバイパス手術を受けに行った友達がいるの。手術代はアメリカの10分の1だったって」「インドなら英語が通じるから安心よねえ」「医療レベルも高そうだし~」
医療費の高いアメリカでは、失業して医療保険を失った人など約50万人が毎年、より安い治療を求め、海を渡る。行き先は、歯の治療ならハンガリー、それ以外ならタイやシンガポールなどが有名だが、最近、インドへの医療ツアーが目立って人気だという。
病院だけでなく、タージマハル観光や、象やラクダに乗れるツアーもアレンジしてくれるらしい。 アメリカのバカ高い医療費と比べると、飛行機代やホテル代、さらに観光費を加えてもなお、ずーっと安上がりなんだって。
そういえば、日本でも最近、陽電子放射断層撮影(PET)を取り入れた人間ドックが、中国の富裕層に人気と聞く。今や、世界各国が、金持ちの外国人患者の争奪戦を繰り広げてる、ってわけね。
※週刊ポスト2011年4月1日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第138回より抜粋)