世界の株式市場の中でもとりわけ好調なのが、新興国市場だ。ではいかにして新興国に投資すればよいのか。経済アナリストの木下晃伸氏が、新興国投資に最適なETF(上場投資信託)を紹介する。
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国が成長する過程で必要なセクターは「資源」「金融」「モノづくり(製造)」「消費」の4つがあるが、なかでも「消費」と「資源」がポイントになる。
まず「消費」でいえば、人口の増加がカギを握る。人口が増え、経済発展に伴って人々の消費意欲が増大することは歴史が証明しているからだ。
とりわけ現在世界第2位の人口を誇る「インド」は、2026年には15億人を突破するといわれ、中国を抜いて世界最大の人口大国となることが確実視されている。そんなインドに投資するETFとしては、香港上場の『リクソーETF MSCIインディア』(02810)を挙げておきたい。
それから「インドネシア」も要注目だ。現在の人口は約2億3000万人と、中・印・米に次ぐ世界第4位だが、2030年までにさらに1億人増えると予想されている。インドネシアを対象としたETFは米国上場の『iシェアーズ MSCI インドネシア・インベスタブル・マーケット・インデックス・ファンド』(EIDO)があり、昨年11月からはSBI証券や楽天証券などで取り扱いを始めている。
もうひとつ注目したいのが「タイ」だ。テロなど政情不安は尽きないが、GDP(国内総生産)総額は約3000億ドルと拡大の余地があることに加え、「観光立国」であることが大きい。地理的にもインドやベトナム、中国などに囲まれ、他国からの人口流入が十分に期待できるのだ。インドネシア同様、昨年から『iシェアーズ MSCI タイ・インベスタブル・マーケット・インデックス・ファンド』(THD)が日本の証券会社で買えるようになっている。
次に「資源」という切り口であれば、例えば資源大国である「ブラジル」に投資する『iシェアーズ MSCI ブラジル・インデックス・ファンド』(EWZ)などが挙げられる。さらに新興国の成長に伴いまだまだ需要増が期待できる原油に注目する場合、日本に上場する『WTI原油価格連動型上場投信』(大証・1671)や『ETFS原油上場投資信託』(東証・1690)という手もある。
一方、一国に投資することにリスクを感じる方には、新興国全体に投資する『iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット・インデックス・ファンド』(EEM)という選択肢もある。
もちろん、これら新興国への投資はハイリスクであることに変わりはなく、常に「出口」を考えておく必要はある。ただ、ここから5割の上昇は十分見込めるし、年内に倍になってもおかしくないだろう。このチャンスを逃す手はない。
※マネーポスト2011年3月号