大阪湾に面し、1995年にM7.3の阪神・淡路大震災を経験した大阪府と兵庫県では具体的な津波対策のシミュレーションマップが作成されている。
『大阪府地震被害想定報告書』などによれば、東南海地震(想定M8.6)が起こった場合、兵庫県内では地震発生から30分後には淡路島南部に津波の到達が予想され、最大で5m80cm、神戸や阪神地域でも地震発生後早い地域では1時間20分後には2m以上の津波が襲う。
大阪府でも津波は大阪府の最南端に位置する岬町には50分後に津波が到達する。大阪府高石市の浜寺水路周辺では府内で最高値の約4m、大阪市内でも木津川周辺に位置する大正区、住之江区では最大で3.7m、淀川が流れる北区や都島区では3m前後の津波が川をつたってくることも想定されている。大阪市の海側でも多くの場所で3m前後水位が上がることが予想されているという。
甲子園球場、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、海遊館といった観光名所も2~3mクラスの津波に襲われるとシミュレーションされている。
加えて、大阪湾を取り囲む大阪、兵庫の湾岸地域では液状化現象も起こることが予想されている。大阪駅周辺から泉佐野市周辺までの約50kmに渡り、また大阪環状線の外周に位置する城東区や東成区なども水浸しになる可能性が高いと指摘されている。
想定外の大津波にも備え、大阪府は大阪湾内に最大で10m近い堤防を築き津波の侵入を防ごうと備えている。
※週刊ポスト2011年4月1日号