大震災の波紋はプロ野球界にも及んだ。
紆余曲折の末、「セ・パ両リーグ4月12日同時開幕」に決まったが、セ・リーグは瀬戸際まで「3月中の開幕」に固執し続けていた。当初は、従来の予定通りの3月25日開幕をかたくなに主張。文科省からの要請を受けても延期はたった4日間(3月29日開幕)にとどめようとした。
あるセ・リーグ関係者が内幕を打ち明ける。
「巨人が開幕延期を頑なに拒否したのは、やはり渡邉恒雄氏(読売グループ会長)の意向が大きかったようです。テレビ中継が激減する中、放映権料が見込める3月25日からの開幕戦は巨人にとって数少ないドル箱。だからこそ当初は開幕日をずらさないとかたくなに主張していたんです。
文科省の要請を受けて開幕日をずらすのをわずか4日間にしたのは、同じくドル箱の阪神戦(東京ドーム・4月5日~)は死守したいと考えていたからのようです」
巨人ばかりが開幕強行を推し進めたわけではない。中日、阪神、広島の各球団も賛成していた。
「狙いはズバリ交流戦です。日ハムのルーキー・斎藤佑樹や楽天の星野監督など話題に事欠かないパ・リーグとの対戦があれば、相当な集客が見込めると各球団は考えている。リーグ日程の延期・短縮となれば、交流戦が削られる可能性が高い。それだけは避けたかったようです」(前出・セ関係者)
3月中開幕に反対していたのは、消費者による不買運動が怖いヤクルトぐらいのものだったという。
※週刊ポスト2011年4月8日号