「1歳未満の乳児に使うことは控えてほしい」――3月23日午後1時15分から始まった東京都水道局の会見が東京に大パニックを招いた。
「会社のテレビで会見を見ていて、こりゃ大変だと。それまでは水やトイレットペーパーを買い占めるなんて話に眉を顰めていましたが、慌ててネットでペットボトル水を2箱買いました。同僚がその後買おうとしたらもう買えませんでしたから、本当に助かりました」
浄水場から放射性物質が検出された怖さ以上に、水を手に入れられたことが余程嬉しかったのだろう、顔が自然と綻ぶAさん(34歳)。
23日夕方には都内のスーパーやコンビニからペットボトル水が消え、家庭や法人にウォーターサーバーの提供を行なう会社にも問い合わせが殺到したという。
「東京23区は、通常は注文も含めて1日600件程度の問い合わせですが、23日は報道からわずか3時間で1万5000件のコールがありました」(アクアクララ広報担当)
それだけではない。ネットオークションでは、水を転売して儲けようとする輩まで出始めている。
東京ではトイレットペーパーや電池などの品切れ状態が続いているが、物がないわけでは決してない。レストランやファストフード店は通常通り営業している。政府も買い占め鎮静化に躍起だが「それはキレイごとです」と静岡県東部に住む30代の主婦は語気を強める。
「東京の人が買い占めているというテレビの映像を見ると、私たちも不安でスーパーに走るんです」
静岡県東部は15日夜に震度6強の地震を経験している。この主婦が続けて語る。
「今後も大きな地震が来ないとは限りません。県内に浜岡原発もあるし、放射性物質も怖い。家族4人が1週間サバイバルできるよう、レトルトご飯に水、スープなど食料を買い込みました。カセットコンロや電池はもうどこを探しても完売で、関西の友人に送ってもらいました」
※週刊ポスト2011年4月8日号