政治家の「適材適所」について考えさせる例を二つ紹介しよう。
震災後、災害ボランティア担当の首相補佐官に就任した辻元清美氏は、権限をくれと駄々をこねたという。補佐官は官邸の大部屋に席が置かれるのが通例だが、辻元氏は、「部屋と秘書官がいないと仕事ができひん」と要求して、内閣府に震災ボランティア連携室を設置させた。ちょっとした“大臣気分”を味わったのか。
また、岡田克也幹事長は、民主党地震対策本部長の職にある。もともと他人の感情に疎いことが指摘される人だから、こんな“不適材不適所”はない。
原発事故で福島県双葉町の住民1200人が集団避難しているさいたまスーパーアリーナを視察し、帰郷への支援を求める町長を尻目に、なんと「町ごと移転して、しばらく何年間かやっていただく」と語った。
住民たちはアリーナに短期間滞在したあと、次は埼玉県加須市の高校に移動することになっている。落ち着き先も定まらない住民たちは、いきなり飛び出した冷酷な宣告に、「もう故郷には帰れないのか」と絶望的な気持ちになったという。
視察に際して、水も食糧も与えたからと、「ここは人も物もありーな」とジョークを飛ばしたと報じた産経新聞に、岡田氏は「いってない」と抗議したが、“あの人ならいいかねない”と周囲の誰もがうなずいていたという。
※週刊ポスト2011年4月8日号