リーマン・ショック後でも株で勝てるチャンスはあったのに、結局手を出せなかったという投資家は多い。適切なタイミングで参戦することのむずかしさを実感した人もいるだろう。
投資情報サービスを展開するケン・ミレニアムでは、割安株投資を推奨してきた。いわゆる底値の近辺で買いを入れればその後に下落する可能性も低く、上昇率も高いからだ。こうした割安株投資ができるタイミングは、相場の大きな転換点、要するに株式市場全体が大きく下落し、それが上昇に転じる時である。
こうした相場の大きな転換点に絞って投資する「転換点投資法」は、安く買って高く売る投資の王道スタイルといえる。同社代表の森田謙一氏に「転換点投資法」のポイントとタイミングの見極め方を解説してもらった。
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株式投資に勝つためには何が必要だと思いますか。それは「自分の欲や感情をコントロールすること」です。
株式市場が上昇してくると、儲かりそうな気がして誰しも株を買いたくなるものです。反対に相場が悪くなると、怖くなって損切りをしたり、株を買うのを控えるようになります。
しかし、こんなふうに欲や感情に従って取引をしていれば、天井圏で買ったり、底値圏で売ってしまい、いつまでたっても利益を上げることはできません。実際、多くの個人投資家は「良い相場で少し儲けて、悪い相場で大損する」という傾向にあります。証券会社に勤める知人は、「個人投資家は1年半しかもたない」と言っていました。要は、個人が株式投資を始めても思うように利益を出せず、1年半後には撤退してしまうということです。
個人投資家が負けるのは、自らの欲にしたがって投資をしたいタイミングで投資するからです。私に言わせれば、常に戦い続けることを求められる機関投資家と異なり、個人投資家は待つことができるというアドバンテージがあります。勝つ確率の低いタイミングではじっと我慢し、勝つ確率の高いタイミングを選んで投資することで、成功率は飛躍的にアップさせることができるのです。
勝つ確率の高いタイミングとは、相場の大きな転換点、要するに株式市場全体が大きく下落した底値近辺のことです。たとえば、2009年10月から2010年10月までに、東証一部のすべての銘柄を買った場合、60日以内の上昇率と下落率を見てみましょう。これを見ると、2009年の年末や2010年の2月だと上昇している銘柄が非常に多いことがわかります。
これが「勝つ確率の高いタイミング」です。逆に2010年の5月や6月あたりに買った銘柄はほとんど下落しており、よほど銘柄選びがうまくない限りは負けてしまう時期だというわけです。
株で勝つにはこうした成功率の高いタイミングに投資することが必要になります。現状で一番いい銘柄を選んで投資するという相対的判断ではなく、相場の転換点という絶対的な基準を満たしていることが重要です。これが本来の「割安株投資」なのです。
※マネーポスト2011年3月号