おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が、東北関東大震災における米国人が思うところを説明する。
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東北関東大震災から5日目、これを書いている。震災以来、連日のようにアメリカの友人からメールが届く。自宅の電話が鳴る。「家族や友達は無事?」「あなた自身は助けを必要としてない?」「日本の復興支援に一番良い方法を教えて」「祈りを込めて寄付します」……。アメリカって、世界のどこで天災があっても、支援に立ち上がらずにいられない国なんだ、と改めて知る。
フェイスブックでは「(日の丸の)赤色と白色の服を着て、日本のために祈ろう」なんて動きまで広がってる。「紅白の服で誰が救われるの?」と突っ込みたくもなるけれど、シンボルカラーを決め、意思表明し、すぐ行動に移すのも、ある種のアメリカらしさ、なんだろう。
CNNなどのテレビは、朝から晩まで延々と津波や被災地の映像を報道し続けた。「ハイチ地震の数百倍」「マグニチュード9の地震に巨大津波、おまけに原発メルトダウンの危機……それでも日本は耐えている」と。こんな報道ラッシュは、9.11の同時多発テロ以来らしい。凄まじい被災状況と、そんな中でも暴動や略奪が起きない「orderly(冷静で秩序を保った)」な日本に、私の周囲のアメリカ人たちはただただ驚愕している。
※週刊ポスト2011年4月8日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第139回より抜粋)