世界中が注視する福島第一原発事故を止めるべく、自衛隊の特殊部隊とともに派遣されたのが、東京消防庁が誇る精鋭部隊・ハイパーレスキュー隊だった。国民を守るという使命の一方で、放射能という「見えない敵」との闘い。ハイパーレスキュー隊・高山幸夫総括隊長(54)の妻・啓子さん(54)は、こう話す。
「宮城や岩手で、がれきの下から被災者のかたがたを助けに行くんだろうなとは思っていたんですけど、まさか福島の原発に行くとは思いませんでした。…いつもと違って…心配でしたね…」
いつも生死の狭間で仕事をしてきた高山さん。結婚して1年ほど経った1983年10月には、噴火のあった三宅島へと派遣された。夫が初めて長期で家を空けることとなり、このときは啓子さんも不安な日々を過ごした。
「火砕流を海水で消し止めるという任務でした。当時は若かったので最前線で働いていましたし、そのときは子供も生まれたばかりだったので、テレビで火砕流が迫ってきたりしている映像を見て不安な気持ちになったこともありました。
でも、帰ってくると主人は、本当は危険な目にも遭っているはずなのに、全然大変な話はしないで、“村の人がみんなよくしてくれた”とか楽しい思い出しか話さないんです。ですから、私の不安も少なくなって“信じて待とう”という思いになったんです」(啓子さん)
※女性セブン2011年4月14日号