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阪神大震災被災の料理研究家「常備しておくべきは豆類」

人の命をつなぐのは食。過剰な買いだめをせずとも、いつもの生活で使う食材を備蓄しておくだけでいざというときに役立つと、兵庫・神戸在住の料理研究家・坂本廣子さんはいう。坂本さんは16年前、もっとも被害の大きかった神戸市東灘区で阪神・淡路大震災を経験した。

「このときの私たちの課題は、救援物資が来るまで、家にある食材でいかに食いつなぐかということでした」

救援物資が届いたのは被災6日後。それまでは家にあった食品でやりくりをしたという。

「缶詰、乾物、乾めん、豆類が大いに役立ちました。特に豆類には必須アミノ酸が豊富に含まれています。火や水がなくても食べられるレトルトの煮豆やいり豆、糖分補給もできるようかんも常備しておくといいですよ」

長期保存ができる缶詰は味つけの濃いものよりも、応用のきくものが役立つという。

「トマトジュースは塩やこしょうで味つけするだけで即席スープに。ツナ缶はほかの食材と合わせれば味のアクセントになります。ホールコーンは食物繊維が豊富でサラダなどに幅広く活用できます」

また、災害が起こると体力が下がるうえに、インフルエンザなど伝染病のまん延も心配される。生ものを口にするのは避けるべきと坂本さんはいう。

「食材に火を通し、衛生的な食べ方を確保することがとても大切なんですよ」

ガスも電気もない緊急時には使い捨てカイロでレトルトパックをはさみ、タオルや毛布で包んだ。そのとき、温かい食べ物が体と心を守るのだと実感したそうだ。また、ポリ袋とキッチンばさみも役に立ったとか。

「ポリ袋を使えばわずかの水でも乾物は戻ります。手にかぶせればおにぎりを作るときも衛生的。キッチンばさみはまな板がなくても食材が切れるので便利です」

※女性セブン2011年4月14日号

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