被災地では、迷彩服を着た自衛隊員や赤いチョッキの医療従事者、ハッピ姿の消防団の懸命な救援活動が連日報じられている。その陰で身分や名前を隠し、こっそりと被災者支援をしている“ボランティア団体”がある。
暴力団事情に詳しいジャーナリストがいう。
「ある広域指定暴力団は、地震発生直後から東北の事務所や傘下組織をフル動員して、地域の住民や建物の被害状況を報告させました。その後、福島県にある傘下組織の本部を拠点として、全国から食料や乾電池、毛布などの支援物資を集めています。
そこから物資をどの避難所に届け、どこで炊き出しをやるかは極秘。いまは反社会的勢力への風当たりが強くなっているので、ヤクザからは受け取れないと、避難民に拒否されないためのようです」
他の暴力団組織でも、組の行事を中止して、被害の大きい仙台を中心に人や物資を送り込んでいるという。
阪神・淡路大震災の時、神戸に本拠を置く山口組が炊き出しなどを行ない、その義侠心が話題になった。が、一方では「復興工事参入の下準備ではないか」と疑問視する声も上がった。
「半倒壊の住居やビルの解体、瓦礫の処理が暴力団のシノギになるケースは多い。“復興需要”を見越して人員を送り込むのは、阪神の時でも、今回の震災でも同じでしょう」(同前)
宮城県警関係者が危惧する。
「戦後、日本が焼け野原になった時に様々な組織が乱立して治安が悪化したように、東北でも、新手の組織が勢力拡大を目指すことが考えられる」
※週刊ポスト2011年4月8日号