地震による電力需給の逼迫が首都圏を直撃している。危機を乗り切るための方策を住環境計画研究所所長の中上英俊氏が提案する。
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住環境計画研究所で以前行なった調査の興味深い結果を紹介しよう。 この調査はオフィスビルの電力使用量の実態を調べたもので、「自社ビル」と「テナントビル」の違いに着目して行なった。
両者の間では、電力使用者の立場が異なる。自社ビルは「電力を使用する企業と電気代を払う企業は同じ」だが、テナントビルの場合、「テナントは、直接電気代を支払わない(諸経費を含めた管理料をビル所有者に支払っているケースが多い)」ことになる。つまり、テナントビルのほうが電気代への意識は希薄になりがちだ。
調査の結果、同じ規模のビルでも、なんと自社ビルのほうが、30%も消費電力が少ないことがわかったのだ。
※SAPIO2011年4月20日号