死者・不明者が2万8000人を超える(3月28日現在)という戦後最大の災害を前に、とまどうばかりの私たち。こんなとき私たちはどのように対応するべきなのか? 災害時の父親のあり方について、キャスターの草野仁さん(65)はこう語った。
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私が子供のころのことです。母が調理に使っていた灯油コンロの炎が天井まで上がったことがありました。私と母がびっくりして言葉を失った瞬間、父が「すぐに毛布を持って来い」と叫んだんです。毛布をパッとコンロの上にかぶせると、火は消えました。子供心にも、「お、やるな」と思いましたが、こうした危機管理は、やはり男親、一家の大黒柱の担う役目ですよね。
「備えあれば憂いなし」とはいい古された言葉ですが、ふだんから家庭でも火事や地震に備えて、家族で話し合い、消火器の点検をしたり、避難経路の確認をしたり、シミュレーションしておくことが大切ではないでしょうか。年に1回でも家族そろって訓練しておくと、いざというとき慌てないと思うんです。
地震といえば、新婚時代に妻と映画を見ていたとき、震度5の地震に見舞われたことがあります。とっさに天井を見上げると梁が外れそうなほど揺れている。その瞬間、観客は一斉に出口に殺到してパニック寸前でした。でも、私は妻に「いまは出るな」といって、中で揺れがおさまるのを待ちました。つねに冷静であろうとしていると、とっさのときにも、自分はどんな行動を取るべきか、頭の中が高速回転して危機を避けようという勘が働くものです。日ごろから“平常心でいよう”と心がけることが大切なんですね。
今回の被災については、さまざまな情報が飛び交って、一部の商品が買い占められたり、また原発事故による放射線の影響についても報道が錯綜しています。ですから、そういう情報を取捨選択して、買い占めに走らないとかパニックにならないようにするとか、それもまた一家の大黒柱に課せられた役割だと思うんです。母親はそれを子供に周知徹底して自らも慌てず、家族をまとめる役割を担ってほしい。私は男ですから、非常時にこそ自分に厳しく、周りにやさしくありたいと思っています。
※女性セブン2011年4月14日号