東日本大震災後、花見などを自粛する流れが出ているが、過度な自粛は精神面にも悪影響を及ぼす可能性があるという。精神科医の町沢静夫氏が解説する。
「震災を体験しつつも大きな被害を受けなかった人は、本人の自覚の有無にかかわらず罪悪感や無力感を感じています。責任感の強い人ほどその傾向は強い。“自粛”は、被災者への同情を示し、罪悪感を軽減させる手段といえますが、これも度が過ぎたり、正義の名のもとに社会から強制された場合、欲望を抑圧する結果となり、かえってストレスとなってしまう。精神的にもいい影響は与えません」
もちろん死者を悼む気持ちを忘れてはならない。しかし、過度な自粛と不謹慎という正義を振りかざすことは、決して社会のためにも自らのためにもならないのである。
※週刊ポスト2011年4月15日号