工事現場で見るような反射板を付けたベンチコートが闇に映える。手には懐中電灯を持つ。そんな男たちを4人ほど荷台に乗せた軽トラックが人の走るようなスピードでゆっくり巡回する――。
仙台市でも被害が甚大だった宮城野区蒲生地区。地元小学校には今も450人の被災者が避難している。
震災から9日後の3月20日。この小学校では若手有志15人が自警団を結成した。震災前は農業を営んでいた、リーダーの二瓶透さん(49)がいう。
「仙台市では、空き巣が多数報告されています。実は私の家もその被害にあった。津波の水が引いてから自宅に戻ると、お米10袋とタンスの中にあった3万円がなくなっていました。近くにあったパソコンの上には、泥のついた足跡が残っている。こんな非常時なのに許せない……。せめて自分の町だけでも守ろうと、自警団を呼びかけました」
※週刊ポスト2011年4月15日号