相撲界には八百長・賭博問題など問題が山積みだが、現役力士の間に蔓延する八百長を告発してきた大関・日馬富士の元付け人、雷鳳がギャンブルにハマる力士の実情を明かす。
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日馬富士の付け人をしていたので、巡業ではほかの大関と支度部屋が一緒になります。ボクは琴光喜が野球賭博に興じているのを実際に何度も見ました。携帯を見ながら、やたらとソワソワしている。携帯で野球の一球速報を見ながら、「あ、あー」とか「負けたー」とか呻いている。高校野球の甲子園大会も賭けの対象になっていたようです。琴光喜は巡業中、ずっとやっていましたね。
他の幕内力士は巡業先の支度部屋で、博打好きの幕内力士たちは「バッタ」という花札賭博をやっていました。
巡業先では親方の監視の目が届かないので、やりたい放題です。バッタの常連は、琴光喜や把瑠都、雅山、豊ノ島、豪栄道、琴奨菊らで、雅山が胴元を務めていたのをよく見ました。
熱中ぶりはハンパではなく、自分の取組や土俵入りの寸前までやっていて、まわしをつけながらでも「オレ右」「オレ10万」とやっている。東西の両支度部屋で賭場が開かれていました。座布団の下にお金を隠すんですが、チラチラ見えるのは万札だけ。賭けている額がケタ違いなんです。
日馬富士は博打には興味なかったんですが、それでも巡業先で1回だけ、「ちょっとやってみようか」と20万円もって参加したことがあります。だけど、やり方がわからないので「どうすればいい?」と胴元の雅山に聞いたら、「おー、安馬(日馬富士の旧しこ名)! こっちがおいしいぞ!」といわれて「そうですか」と張ったら、「はいダメー!」ってほんの数秒で20万円もっていかれて終了。怒るかと思ったら、日馬富士は「博打なんてこんなもんだ。もうやらない」と。それ以降やりませんでした。
博打にハマるのは稀勢の里や豊ノ島、豪栄道、琴奨菊などガチンコ力士が多いんですよ。
稀勢の里と明け荷が横だったときに、彼が「ハア、600万負けた。車買えばよかった」といっているのを聞いて仰天したことがあるんです。一晩で600万円ですよ。だけど、悔しいって顔じゃないんです。金銭感覚が違いますね。稀勢の里は博打さえやめればもっと強くなると思うのに、本当に残念です。
※週刊ポスト2011年4月15日号