震災後の共同通信の世論調査によると、菅政権の原発事故対応を6割近くが評価せず、首相のリーダーシップにも6割以上が否定的だったが、政党支持率では自民党が民主党以上に評価を下げていた。国民はわかっているのだ。
だからこそ「お互い、痛い腹の探り合いはやめよう」という大連立が推し進められようとしている。権力者が相互監視、切磋琢磨をやめ、思考停止で一つ方向に走り出す今の政治は、まさに<大震災翼賛会>と呼ぶべきものだ。これがどんな恐ろしい政治で、国をどんなに悪くするか、日本人ならば理解に言葉を要しないだろう。
菅直人首相の入閣の打診を谷垣禎一・総裁が断わった3日後、首相官邸では気味悪い光景が見られた。
自民党の大島理森・副総裁と石破茂・政調会長が仙谷由人氏を訪ね、自民党がまとめた震災対策を提案すると、仙谷氏は、「感謝する」と満面に笑みをたたえて受け取ったのである。
その後、自民党執行部は統一地方選のパンフレットから民主党批判を全面的に削除した。石破氏はテレビの討論番組でも「政策協議の上で連立ということでないと。自民党には経験のある人材がいる。最大限に生かしたい。(民主党の)足を引っ張ることはしない」と、完全に翼賛政治にシフトした。
※週刊ポスト2011年4月15日号