東日本大震災では、多額の義援金が世界中から寄せられた。その一方で、義捐金配分の日程が大幅に遅れることも確実となっている。集まった義捐金は配分委員会によって配分割合が検討される。しかし、3月31日現在、配分委員会を立ち上げた自治体はない。被害の全容を把握できず死者数が日々増えていくなかで、とてもそこまで手が回らないのが現状だ。被害が明らかな人だけ先行して渡すことは公平性の面でも問題がある。被害が岩手、宮城、福島を中心に広範囲にまたがっていることも事態を複雑にしている。
「当面の生活資金に困る被災者がほとんど。配分委員会を早急に立ち上げて被災者の資金援助に着手しなければなりません」(大阪大学大学院教授・山内直人氏)
阪神大震災の際は1月17日の地震発生から1週間で兵庫県、大阪府、神戸市、津名町(淡路10町代表)の4自治体のほか、日本赤十字社兵庫県支部、報道関係など26団体で構成され、事務局は日本赤十字社兵庫県支部に置かれた。発生から半月後には第1次配分として死者・行方不明者1人当たり10万円の見舞金を家族に配布している。しかし、この配分には「一律はおかしい」「もっと困っている人もいる」と苦情が続出した。
金銭が絡むことなので、被災者たちの意見の齟齬はやむを得ないのかもしれない。しかし、配分は当然一度では終わらない。
「2次配分以降は住宅助成の拡充や、福祉的な観点から要援護世帯(高齢者・生活保護者・重度障害者)などにも配りました」(兵庫県復興支援課)
2次配分は住宅の損傷状況も考慮された。被災地の市町村が「全壊」「半壊」など住宅の被害の度合いを調べ、持ち主や借り主に「罹災証明書」を発行する。この判定に不服の被災者には「なんでウチが半壊で隣が全壊なんや」と役所に食ってかかる人もいたという。
※週刊ポスト2011年4月15日号