東日本大震災の募金をめぐり、ネット上を中心に多数取り上げられた日本ユニセフ協会(日ユニ)は政界と密接な関係を持つ。
もともと、日ユニの活動を主導したのは、橋本龍太郎・元首相の母、橋本正氏(日ユニ元専務理事)だった。
「正さんが“募金がなかなか集まらない”と龍太郎氏に訴えたことがきっかけで、龍太郎氏は『ユニセフ議連』を設立した。日ユニに賛同する企業から献金を集めていたため、日ユニは“橋龍利権”と呼ばれた」(政界関係者)
だが、龍太郎氏と正氏をよく知る元秘書に聞くと「それは違う」と反論する。
「正さんが専務理事の時代は、日ユニの活動は慎ましいものだった。しかし、東郷(良尚・副会長)さんが入ってきてからビジネス化した。東郷さんが運転手付きの車を使っているのを知った龍太郎先生は、生前に“母がやりたかった活動と全然違うものになってしまった”と、一度ならず嘆いていた」
現在の議連会長は谷垣禎一・自民党総裁で、公明党の坂口力氏、民主党の小宮山洋子氏ら与野党の政治家が幹部に名を連ねる。前出の政界関係者がいう。
「政治家がユニセフ議連に参加するメリットは、まずはイメージアップ。また、日ユニには多くの大企業や新聞社が協賛しているから、票やカネを持つ企業との接点にもなる。
近年は特に野田聖子・元消費者相との関係が深い。野田氏が会長を務めるNPO法人の理事を東郷氏やアグネス・チャンが務めている。かつて岐阜県庁の裏金問題(2006年)で、一部が日ユニの献金に流れていたことが判明したが、これも岐阜県政に強い影響力を持つ野田氏とのつながりがあるのではないかと囁かれた」
裏金の件は推測の域を出ないが、野田氏のライフワークである「児童ポルノ規制」でアグネスが広告塔を務めることも、日ユニ人脈の深い関係をうかがわせる。
※週刊ポスト2011年4月15日号