ライフ

「英語はYESNOはっきり」は誤り 実は空気読む能力が必要

 世界的な経営コンサルタント・大前研一氏の英語力は、国際的に活躍する日本人の中でも群を抜いている。その大前氏が、日本の英語教育の問題点を指摘する。

 * * *
 日本は教える先生に能力がないから、文科省の指導要領通りにしか教えない。フレキシビリティは皆無である。だが、英語に限らず言葉というのは、相手や時と場合などに合わせて表現を変える必要がある。

 よく英語は「YES」「NO」がはっきりしていると言われるが、それは間違いだ。英語には深みとニュアンスがあり、それをTPOによって微妙に使い分けねばならない。

 たとえば、さほど親しくない相手に英語で「君、それはやめてくれ」と言いたい場合、どんな表現をすればいいか?

「Stop it」なんて言ったら、たぶん相手は「お前にそんな風に命令される筋合いはない」と怒って喧嘩になるだろう。「Don’t do it」と言っても相手は傷つく。丁寧な言い方にしようとして「Please」を付け加えても同じことだ。

 私が考える最も好ましい表現は「I wouldn’t do it」。「私があなたの立場だったら、やらないと思いますけどね」という婉曲的な言い方だ。

 女性が男性の誘いを断わる時も、ストレートに「Don’t do it」と言ったら男性は傷つく。この場合は「Not today」(今日はダメ)とやんわりかわす。それが男性のプライドを慮った“正しい断わり方”である。

 いずれにしても、この問題に「正解」はない。同じ意味の別の言い方は、TPOに応じて何十通りもあるからだ。ところが、日本の○×式の英語教育だと「Don’t do it」が○、となるから、日本人はTPOに関係なく「Don’t do it」と言ってしまう。私の経験では、生半可に英語のできる日本人ほど海外事業で失敗するものだが、その最大の理由がこれである。

 このように、日本の従来の英語教育はやり方が間違っていることがはっきりわかっているにもかかわらず、文科省は小学校から英語を必修化した。これは“パブロフの犬”を2年間早く、長く育てるだけである。

※SAPIO2011年4月20日号

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン