東京電力株の連日ストップ安に代表されるように、震災の前後で物色される日本株の銘柄は大きく変容した。なかには震災後に一躍脚光を浴び始めた銘柄もある。
そのひとつとして、T&Cフィナンシャルリサーチ取締役の野田和宏氏は、ジャスダックに上場する楽天(4755)に注目している。
同社はいわずと知れた、ネット通販サイトの国内首位。本業のネット通販事業に加え、銀行や電子マネー会社を買収し、多彩な決済手段を持つことでシナジー効果が見込まれ、さらに、買収を進めた海外事業の利益率も改善傾向が顕著である。
それを好感して、株価も昨年9月以降、上昇トレンドが継続しているが、それに加えて、今回の震災が同社のビジネスチャンスをさらに拡大させる可能性が高いという。野田氏が解説する。
「震災で店舗を持たないネット通販の利便性が再認識されている。被災地のネット環境や物流が回復すれば、同社の需要はさらに増えると予想されます。また、今後は停電や旅行自粛などで巣ごもり傾向が強くなることが考えられる。それが、ネットで何でも買える楽天に有利に働くことは間違いないでしょう」
心配なのは球場が被害を受け、ホームの観客減が予想される楽天イーグルスだが、同社の事業の中では球団事業のウエイトは小さく、影響は限定的だという。
野田氏は6か月程度で株価10万円までの高騰もあると予測している。
※週刊ポスト2011年4月15日号